先日お知らせいたしましたzine・リトルプレスの展示・販売イベント「本と珈琲と…」、24日に無事終了いたしました。
おかげさまで沢山の方にお越しいただいたようで、篤く御礼申し上げます。
会場の様子。
土日限定でコーヒーと、ポルトガル料理のお弁当が付いたzineも販売。
自由な発想で作られたさまざまなzineを手に取りつつ、あれこれとおしゃべりするのも本展の大きな楽しみのひとつ。
食べ物やコーヒーの販売は今回はじめて取り入れた趣向でしたが、会場でゆっくりと過ごしてくださる方や、2度3度と足を運んでくださる方もずいぶんいらっしゃったようで何よりでした。
ちなみに、斑猫軒が今回出品したzineは3種類。
うち2つは過去の展示でも出品したもので、あと1つが今回のための新作でした。
「幻想文法私注釈『内田百閒 件』」
岡山出身の作家、内田百閒の不思議な作品集『冥途』に収録された短篇小説「件」に、ワタクシなりの注釈を加えた冊子です。
「件」といえば先日のブログ記事で、作中のある場面の記述について書きましたが、今回のzineでもその話について少しだけ触れています。
というよりも、そもそもzineを作るための調べものをしている過程で気付いた話が案外長くなってしまったのでブログに載せることにした、というのが順序としては正しいわけですが。
ですから、zineのほうでは例の話は簡単に述べるだけにとどめています。
出品したzineでおもに取り上げたのは「件」に見られる百閒の文章技巧的な側面。
描写による視線の誘導や、言葉のリズム、ストーリーの構成、記述の工夫から垣間見える意図、といったものを作品の流れに沿って考えてみました。
客観的に全てが正しいとも、参考になるともお約束できかねますが、文庫で数ページのごく短い小説を、どれほど味わい尽くせるかという一個の実験として眺めていただくことを主眼としております。
あるいは「ほう、」と頷いていただけるような解釈が一つや二つ、ありましたらお慰み。
ありがたいことに会期中に在庫僅少となりまして、2度ほど増刷しましたが。
その残部が少々ございますので、近いうちに当店のショップにて販売いたします。
なにぶん素人仕事の拙い造りではありますが、zineというジャンルがどういうものか、ご興味ございましたら乞うご笑覧。
なお、次回のzine展開催は未定です。